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会社に命を捧げるために生まれてきたのではない。迷わず逃げろ

憂うつ 落ち込む

著作者:Little_Li

 

2015年

10月13日「休日返上で作った資料をボロくそに言われた もう体も心もズタズタだ」

10月14日「眠りたい以外の感情を失った」

10月21日「もう4時だ 体が震えるよ しぬ もう無理そう。つかれた」

 

このSNSへの投稿から二カ月後のクリスマスの早朝、女性は東京の社員寮の部屋から投身自殺をした。24年の短すぎる命だった。

 

中学生のとき両親が離婚し、女性は母子家庭で育った。

「お母さんを楽にしてあげたい」

女性は猛勉強の末、東大に入り、卒業後、大手広告代理店の電通に入社した。その年の本採用となった10月以降から時間外労働が月に105時間に達するという労働環境だった。

労働基準監督署は女性の死が長時間労働が原因として労災に認定したという。

 

このニュースに対して武蔵野大学グローバルビジネス学科教授、長谷川秀夫氏が「NewsPicks」へ発言した。

「月当たり残業時間が100時間を越えたくらいで過労死するのは情けない。会社の業務をこなすというより、自分が請け負った仕事をプロとして完遂するという強い意識があれば、残業時間など関係ない。自分で起業した人は、それこそ寝袋を会社に持ち込んで、仕事に打ち込んだ時期があるはず。更にプロ意識があれば、上司を説得してでも良い成果を出せるように人的資源を獲得すべく最大の努力をすべき。それでも駄目なら、その会社が組織として機能していないので、転職を考えるべき。また、転職できるプロであるべき長期的に自分への投資を続けるべき。」

この発言はすぐに批判を浴びた。長谷川氏は投稿を削除、10月8日に謝罪のコメントを投稿した。

 

亡くなった女性がどのような労働環境にあったか、わたしは少しだけわかる。詳細は控えるが、ほんの少しの期間、わたしも電通に勤めたことがある。

わたしは実態を目の当たりにして「逃げ出した」のだ。

あのときの選択は、今でも間違っていなかったと思う。

今回のこのような形で命が絶たれるのは、残念でならない。

 

 

わたしは一度だけ自殺を考えたことがある。23歳のときだった。

当時、わたしは地方のテレビ局に勤めていた。

それよりも数年前に一度、そのテレビ局で勤め、23歳のときに再度入社した「出戻り」のようなものだった。

局内には顔見知りのスタッフが多くいたが、わたしが配属されたのはこれまで関わることがなかった部署だった。部署のスタッフとは会話などしたことはなく、顔は見たことある程度だった。

 

仕事は多忙を極めた。

ADはわたし一人だったため、すべての収録を担当した。下準備から当日の収録作業。さらにはVTRの粗編集と番宣の用意。そして次の収録の準備と、24時間では足りないほどだった。

泊まりはもちろん。気がついたらVTRの編集中にモニターの前に座りながら眠っていることは日常だった。家に帰るのはシャワーと少しの睡眠のため。

 

この部署での業務はなにもかも面白くなかった。

今で言えばパワハラもあった。同じ部署のスタッフは、だれもわたしのことなど気にもとめないし助けてもくれない。会話もなければ、スタッフ同士での冗談話もないような雰囲気だった。

わたしは次第に追い込まれていった。

 

ある日の打ち合わせの帰り道、わたしは自殺を考えた。

歩道をふらふらと歩いて、そのまま車道に体を寄せていった。

クラクションが鳴り、わたしは「ハッ!」と気がついた。車はわたしの横をかすめるように走りすぎた。

その日、わたしは仕事を放り出して心療内科に行った。

「2週間の休息を要す」

医師に診断書を書いてもらい、翌日会社に提出した。しかし帰ってきた言葉は、

「とりあえず3日だけ休んで」

わたしはその日も仕事をして帰宅した。

そして次の日の朝、背中に激痛が走り、しばらく起き上がることができなかった。わたしはそのまま病院に行き、入院した。

 

これ以降、わたしは「働くこと」と「生きる意味」を考えるようになった。このときの経験が、今のわたしの考えを構築する礎になっている。

 

 

生きている意味がわからなくなるほどの長時間労働は、精神的にも肉体的にもよくない。しかし一方で長時間労働が苦にならない人がいるのも事実である。

そのちがいはなにか。それは労働環境にあると言える。

スタッフがいい。職場の居心地もいい。仕事のペースも自分でできる。結果、労働環境がいい。このような環境で本人が満足していれば長時間労働は苦にならない。たとえそれが泊まり勤務でも。

しかし、追いつめられるような職場環境では、たとえ定時勤務でも病気になるぐらい憂うつになる。朝起きても体が重く、電車の中ではため息ばかり。勤務中は体が硬くなり、休憩中は残り時間の確認。帰宅すれば次の日のことを考える。24時間いやな気分でいれば、いつか人は病気になる。

労働時間の改善はもちろんだが、それよりも大事なことは職場環境の改善だ。

光を当てなければ植物は成長できないし、風通しが悪ければ植物は腐ってしまう。人も同じだ。

大事なのは環境なのだ。

 

「長時間労働」「自殺」というキーワードだけで、どこかの無知な大学教授がとんでもない発言をしてしまう。このような大人が学校や会社で幅を利かせている世の中もまた、よくないのだ。

wabisuke.hatenablog.jp

 

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