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カーディガンズがアンニュイにしてくれる。記憶に残る音楽は時間を超えて

THINKs THINKs-生きること

外国人女性

著作者:andresdavid90

 

15秒の短い世界で商品の特徴を伝える。CMは消費者の心をくすぐる要素が詰まった入れ物だ。

とくにCM内で使われるBGMや歌はいつまでも耳に残る。

 

「新曲だ」

と思う世代がいる一方で、

「懐かしい曲だな」

とオリジナルを知っている世代はそれを新曲とは思わない。

世代によっても曲のありかたは違う。

 

 

ニーナ・パーションのキュートな声が聴こえてきた。「Lovefool」はスウェーデンのバンド『カーディガンズ』のヒット曲である。

 

「この曲をカバーした女性ダンスグループDreamのAmiさん。ソロ3枚目のカバーシングル『Lovefool』です」

 

司会者がカバーと言わなければ、多くのファンはオリジナルだと勘違いしていたかもしれない。

 

「かわいすぎる」歌い方である。若い女性には受けがいいかもしれない。

ただ、ニーナ・パーションはかわいい中にも「アンニュイ」がある。あの力が抜けるような感覚。疲労にも似た感覚が身体中をおそう。

 

「カーニヴァル」はわたしを二十二、三歳のときに時間を戻してくれる。

 

 

世の中が「仕事」で動いている平日の晴れた日。

わたしは年上の彼女を助手席に乗せてドライブを楽しんだ。

他愛もない話をして、時折くる会話と会話の間の途切れた時間。

FMラジオからは女性ヴォーカルの洋楽が流れていた。

「抜けた歌だな」

と思った。そのときは気にもとめなかったが、のちにその曲がカーディガンズの「カーニヴァル」だと知った。

何年も経っているのに、曲を聴いただけであのときの晴れた平日の時間が頭によみがえるのは音楽の力なのかもしれない。

 

 

音楽というのは不思議で、聴く人によっていい印象だったり、悪い印象だったりする。

それはその音楽を聴いたときの、その人の時代背景や、出来事があるからなのは当たり前ではあるが、人に影響を与える五感のうちで聴覚は、鋭く人の記憶や心に突き刺さる。ほかの感覚よりも強いのではないか思ってしまう。

 

わたしの友人は、藤圭子を聴くと若いころのイヤな時代を思い出すと言っていた。友人にとって藤圭子の歌は、時間を超えるものなのだ。

ただ、「昭和の歌姫」の歌を聴くと、友人でなくてもだれもが憂鬱な気持ちになってしまう。

 

「15、16、17と、私の人生暗かった」

 

「演歌」とは、まさに五木寛之が書いた『怨歌』である。

 

 

年上の彼女とは別れ、わたしは東京で暮らし始めて年数が経っていた。カーディガンズというスウェーデンのバンドだと知ったのは、ちょうどそれぐらいのときである。

ニーナ・パーションのアンニュイなヴォーカルで歌われる「カーニヴァル」を耳にするたびに、あの晴れた日を思い出し、わたしの胸は針で刺されたように、少し痛む。


The Cardigans - Carnival

 

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