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続・良質な読書時間をもたらすおすすめ本10冊を追加紹介(ノンセクション)

良質な書籍

コーヒー

知らなかった分野の知識を簡単に知ることができる。それが読書の良い点である。

少しでも興味を持ったのならジャンルに関わらず読んでほしい本がある。そこから新たに未開拓のジャンルに進む。知識をシャワーのように浴びてほしい。

 

以前の記事で紹介しきれなかったおすすめの本を今回も紹介する。

wabisuke.hatenablog.jp

 

続・おすすめ10選

 

大人の迷子たち

大人の迷子たち

 

『SALUS(サルース)』という無料情報誌がある。

東京で東急線を使っている人は知っているかもしれない。毎月20日に駅構内のラックに並べられているタウン誌だ。

内容は東急沿線の情報。そしてエッセイが掲載されている。すべてカラーページで見やすい。

そのエッセイ『大人の迷子たち』をはじめて読んだのが5年ぐらい前になる。すでに連載ははじまっていたが、気に留めることもなかった。

あるとき、通勤途中の車内で何となく読んだそのエッセイに衝撃的を受けた。

それは、心打たれたとか、しみじみと伝わるというものではなかった。読み進めると、まるでその場に居合わせて、筆者とともに同じ物語の空間を共有している感じになる。

選び抜かれた言葉の一つひとつが浮いた言葉ではなく、地に根をはり、語りかけてくるのである。

冊子の中の1ページ、1400字ほどの分量、二、三駅の間で読み終えてしまうほど短いそのエッセイには、その切り抜かれたシーンには書かれることはない時間の経過までも読み取ることができる。そんな言葉を選び取り、そのエッセイは表現されていた。

岩崎さんはコピーライターである。その名前は知らなくても、世に送り出した数々のコピーを知っている人も多いはずだ。

 

  • 美しい50代がふえると、日本は変わると思う。(資生堂)
  • 21世紀に間に合いました。(トヨタプリウス)
  • 英語を話せると、10億人と話せる。(ジオス)
  • 年賀状は、贈り物だと思う。(日本郵便)
  • やがて、いのちに変わるもの。(ミツカン)

 

これから先、岩崎さんが選び出す言葉を読むことができない。亡くなられてもう一年が過ぎた。早すぎる才能の死である。残念でならない。もっともっと言葉を紡ぎだしてほしかった。

言葉のすばらしさに触れてほしい。至極のエッセイである。

 

 

 

夜と霧

夜と霧 新版

 

人間とはなにか。

わたしたちは、おそらくこれまのどの時代の人間も知らなかった「人間」を知った。では、この人間とはなにものか。人間とは、人間とはなにかをつねに決定する存在だ。人間とは、ガス室を発明した存在だ。しかし同時に、ガス室に入っても毅然として祈りのことばを口にする存在でもあるのだ。

 

心理学者である筆者は、第二次世界大戦中、ナチスにより強制収容所に送られた体験を持つ。戦後にその体験を綴った『夜と霧』を世に出す。

強制収容所に送られる前に行われる人間の選別。アウシュビッツ駅での運命。収容所での労働と生活。人間の生死をわける何気ない決定に、運命を決められる収容者の不幸と幸運。そして収容所からの解放。

戦争という極限の世界。死が日常の世界。争いのない国に住むわたしたちが経験していない世界。むき出しの人間の姿と本性。それを目の当たりにした筆者の言葉が、読む者を物語の中へ誘い、ざらりとした疑似体験をさせてくれる。

極限の中の人間の姿を知ることができる一冊である。

 

 

 

名もなき孤児たちの墓

名もなき孤児たちの墓 (文春文庫)

 

言葉の暴力である。

“飛んで”いる。

本書は短編が多く、そのどれもが数十ページで収まる。すぐに読み終えてしまうものばかりだ。

しかしどれもが独創的で、野蛮で、暴力的で、それでいて疾走感があり、けっしてドロドロしていない。笑ってしまうことさえある。

本書に収められている『点滅……』 は芥川賞候補になったが、選考委員会から相手にもされず、筆者が『SPA!』で選考委員を批判して話題になった。

芥川賞は受賞できなかったが、野間文芸新人賞を大方の支持を得て受賞している。

筆者の中原さんは書くことが苦痛で苦痛で仕方がないと言っている。殴るように書い て、絞り出すように書いて、それが作品にも表れている。

どれを読んでも暴力的で苦痛に満ちているが、なぜか笑ってしまう。

本書に収められている『ドキュメント 授乳』は一読の価値あり。

 

 

 

風に吹かれて

風に吹かれて

 

五木寛之さんの有名なエッセイである。

五木寛之さんが中短編の名手であることよりも、この『風に吹かれて』を知っている人のほうが多いかもしれない。

現在でも読み継がれている『風に吹かれて』は累計460万部超えのベストセラー作品である。

五木さんの学生時代のことにはじまり、その学生生活やロシア文学のこと。さらにそこから見えてくる当時の時代背景。そして仕事のこと。

時代は古いのに、もっさりとしていなくて、妙にキザっぽいところが、どこか五木さんが書く小説と通じるものがある。

 

 

 

ゴドーを待ちながら

 ゴドーを待ちながら (白水Uブックス)

 

なにも起こらない。ただ待っている。ゴドーを。

専門的な人ならば、本書をさまざまな角度から検証するのだろう。いや、すでにされている。

しかし難しく考えることはない。ただ、サミュエル・ベケットの戯曲を楽しめばいい。

 

舞台は木が一本立つ田舎の道。ウラディミールとエストラゴンの2人の浮浪者が、ゴドーという会ったことのない人を待ち続けている場面から始まる。ゲームをしたり、くだらない会話が続く。

 

不思議がらずに読んでほしい。なにか大きなことが起きるのが当たり前じゃなく、むしろこういった物語もあるのか。というぐらいがいい。

 

 

 

江分利満氏の優雅な生活

江分利満氏の優雅な生活 (ちくま文庫)

 

山口さんは芥川賞作家となる開高健さんの推薦で寿屋(サントリー)に入社。寿屋が出していたPR雑誌『洋酒天国』の編集や、コピーライターとして活躍した。

直木賞を受賞後、執筆業を中心に活躍。セミプロ級の腕前であった将棋についてや競馬のこと。さらには礼儀作法についてまで、その広い知識を書き残している。

向田邦子さんとは長い交友関係があり、彼女の突然の死に大きなショックを受け、アル中寸前まで陥ったのは知られているエピソードである。

 

物語は昭和30年代。三人家族にその親。典型的とも言える昭和のサラリーマン家族。彼らの些細な日常を連作短編として章立てでまとめられている。

 

主人公は山口さんに近いのかもしれない。それを意識して書かれているはずである。

今、「家族」という単位はどこにいってしまったのだろうか。夫婦共働きが当たり前の時代、「食卓を囲む」という言葉はすでに死んでいるのかもしれない。

そんな世の中だからこそ、少しだけ「昭和」を覗いてみてはどうだろう。

 

 

 

隠し部屋を査察して

隠し部屋を査察して (創元推理文庫)

 

グロテスクだが読める。残酷でエロティックだが読んでしまう。収められたどの作品にも「美」がある。

 

とある村の話では、少年が上半身を180度ねじられ蜘蛛人間にされる。

ある島の男性は、女司祭によって毎年身体の器官を1個ずつ切除される。

タイトルにもなっている『隠し部屋を査察して』。月に一度、6つの隠し部屋を査察し、報告する査察官の話なのだが、言ってしまえば、『世にも奇妙な』的な内容と印象である。

どの物語も面白く読み進めることができる。

 

 

 

愛するということ

愛するということ

 

数年前から書店で平積みされているので読んだ方も多いかもしれない。

10年前ぐらいに読み、その内容の素晴らしさから一時期この筆者にはまった。

『悪について』、『生きるということ』、『自由からの逃走』を勢いのままに読んだ。どれもが興味深く、考えさせられるものだった。

 

「愛」てなんだ。

人々が愛を軽く見ているというわけではない。それどころか、誰もが愛に飢えている。楽しい、あるいは悲しいラブ・ストーリーを描いた数え切れないほどの映画を観て、愛を歌った流行歌に聞き入っている。ところが、愛について学ばなければならないことがあるのだと考えている人はほとんどいません。

 

「愛」について学ばなければならないほど、今の世の中は「愛す」ることを忘れているのか。愛とは技術なのか。その答えを本書で探してほしい。

きっとあなたも「愛し」たくなる。

 

 

 

諸君!この人生、大変なんだ

新装版 諸君!この人生、大変なんだ (講談社文庫)

 

1月の成人式と4月の新社会人に向けて、サントリーは広告を出していた。十数行の文章と、おっさんの挿絵。

社会人とは。酒の飲み方とは。酒での失敗。そして人生とは。

「おれと同じ失敗はするなよ」

と語りかけているようだが、人はまた同じような失敗をしてしまう。

「失敗に備えておけよ」

こっちのほうが正しいのかもしれない。

山口さんの言葉が掲載されたサントリーの広告を見ることができるおすすめの一冊。

 

 

 

陽炎ノ辻 ─ 居眠り磐音江戸双紙 1

 陽炎ノ辻 ─ 居眠り磐音江戸双紙 1 (双葉文庫)

 

時代劇小説を読んでいる人で知らない人がいないのではないかと思うほど有名な作品である。

2002年に刊行され、累計2000万部のモンスター級大ベストセラーである。2016年1月の最終巻51巻まで14年。長編時代劇小説である。

 

1772年、江戸中期。九州・豊後関前(せきまえ)藩の藩士、坂崎磐音とその朋輩は国許へと帰参。藩政改革の夢を持っていたが、藩の守旧派が仕掛けた策略に陥る。そして磐音に上意が下り、親友を討ち取ることになる。

そこから磐音の流浪の旅が始まる。

 磐音の周囲に集まってくる人物たちはだれもが魅力的である。彼らの力を借りて磐音は剣豪となっていく。

弱きを助け悪を切る。わかりきっている結末でも、読まずにはいられない。

 

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