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これからの時代に大卒という肩書きは必要か。借金してまで入りたいと思っているならもう一度考えるべき

THINKs THINKs-生きること

大学卒業はもはや強みでもなんでもない

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 わたくしは社会人枠入試という制度を利用して東京の大学に入学しました。

 その年に同じように入学して、現在まで交友が続いている唯一の友人がいます。

 

 その方には高校生のお孫さんがいます。大学受験を考えて、お孫さんを含めて家族で時折、進路のことを話すようです。

 お孫さん本人にはこれをやって活躍したいとか、これができれば出世なんてどうでもいい、という強く叶えたい夢や希望はなく、もしどれそれが難しいなら、地元のここで勤めたい。と考えているようです。

 

 その友人は何度かわたくしにこの件についてどう思うか、訊いてきたことがあり、わたくしもお孫さんの状況を含めて、これこれはどうなんだろうとか、考えを話したことがあります。

 

 少し前にわたくしは『子どもの貧困を考える』記事を書きました。

wabisuke.hatenablog.jp

 

 これを書いているときに、ふと思ったことが、子どもの貧困を止めるのは教育しかないと、わたくしは思っているのですが、じゃそれは単純に大学に入学して卒業すればいいのかと問われれば、その答えはイエスではありません。

 

 むしろ東大や京大。慶応や早稲田などの一流大学で学ぶこと。または医学や芸術など専門的なことを学ぶ以外で大学に行くのであれば、その四年間は、

 

「時間の浪費」

 

 で終わってしまうかもしれない。

 

 何となく周囲に流されて決めた二流、三流の大学に入って、けして安くない授業料を払って何となく大卒という免許を手に入れた。

 それで、先の保証がない、いくらでも替えがきく企業に勤める。

 そのような生き方がいいのならわたくしは何もいいませんが、もし、そういった生き方ではなく、もっと自分から積極的に仕事をしていきたいと思うのならば、奨学金という借金を背負って大学に通ったわたくしから言わせてもらえば、中途半端に大学に行くより、これからの時代に間違いなく必須になるプログラミングを学んだほうがよっぽど身を助けるのではないかと、わたくしは思います。

 

「大学で学ぶ」ことが目的なら行くべき

  高卒で社会に出たわたくしが大学に入りたいと思った切っ掛けは本当に些細なことでしたが、その些細なことが、わたくしの人生に訪れたターニングポイントの一つでもありました。

 

 わたくしはとにかく出来の悪い子どもでした。学力と言えるものなどないに等しかったです。

 学生時代はもちろん、社会に出ても活字なんて興味がなく、ゲームとマンガばかり読んでました。

 

 切っ掛けは本当に些細なことでした。

 

 24歳のとき、新聞に掲載されたある広告を見ました。

 それは伊集院静氏が若者に向けた数行の言葉でした。広告主はサントリー。

 大人へ変わる若者に対して、伊集院氏が送った言葉が、当時のわたくしの心を揺さぶりました。

 

 しかし、その伊集院氏の言葉よりもわたくしに衝撃を与えたことは、広告主のサントリーでした。

 

 その広告はウイスキーの広告だったのですが、伊集院氏の文章の中には「宣伝」を思わせるものがなく、若者に向けて自らの思いを淡々と語っていきます。

 そして最後のほうに小さくサントリーのウイスキーの写真が載っている。そんな広告だったと思います。

 

 全国紙になれば数千万になる広告枠を使いながら、企業イメージを全面に押し出さないサントリーに、わたくしは“粋な会社”だなと感じました。

 

 それ以降、わたくしはサントリーが好きになり、広告を過去にさかのぼり調べました。そして人生のターニングポイントとなる宣伝マンを知ることになったのです。

 

「山口瞳」

 

 サントリーの前進となる寿屋はその昔『洋酒天国』なる広報誌を作っていました。

 創刊者は開高健、板垣進、柳原良平の三名。

 発行人はのちに『裸の王様』で芥川賞を受賞し、今なお人気がある故・開高健さんでした。

パニック・裸の王様 (新潮文庫)

パニック・裸の王様 (新潮文庫)

 

 

 トリスバーの客へのサービスとして開高さんが、のちにサントリーの会長となる佐治敬三さんに提案して『洋酒天国』は実現しました。

 

 開高さんが人気作家になり書き物業と編集を両立できなくなったときにその後釜になったのが山口瞳さんでした。のちに山口さんも『江分利満氏の優雅な生活』で直木賞を受賞しています。

江分利満氏の優雅な生活 (ちくま文庫)

江分利満氏の優雅な生活 (ちくま文庫)

 

 

 開高さんは書き物業専念のため寿屋を退社後、朝日の臨時特派員としてベトナム戦争を取材しています。

 反政府ゲリラ軍に囲まれ銃撃にあい、総勢200人ほどの中で生き残った17人の一人という経験を持っています。

 その一方で釣り好き。そしてその豪快な性格から多くの人に好かれました。

 

 一方、山口さんは開高さんとは違い、いぶし銀のような人だとわたくしは感じました。

 自らを戦前でも戦後でもない「戦中派」と呼び、いつか戦争に行くために、ただ死ぬことだけを学んでいたと回想しています。

 兵役、そして敗戦。

 戦後の日本において、お国のために死ぬことだけを学んでいた山口さんは、どう生きていいかわからなくなったと語っています。

 山口さんの書く物は、どこか寂しさがあります。戦後の日本と、経済成長へ向かうその狭間の「あってないような時代」の生活の一場面を切り抜いた。小説からはそんな印象を受けます。

 将棋は強く、プロ棋士との勝負。野球や競馬も好きで、本を書いているほどです。

 山口さんのことをまとめたムック本もあります。

山口瞳 増補新版: 江分利満氏の研究読本 ふたたび! (文藝別冊/KAWADE夢ムック)

山口瞳 増補新版: 江分利満氏の研究読本 ふたたび! (文藝別冊/KAWADE夢ムック)

 

 

 開高さんのあとを引き継ぎ、洋酒天国の編集を担当した山口さん。

 開高さんや山口さん。そして柳原良平さんらがサントリーの広告を次々に世に送り出してきます。あのキャラクター『アンクルトリス』も柳原良平さんの作品で、このころに生まれました。


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  少し話がそれてしまいましたが、生き方に迷っていた24歳のわたくしに、山口さんの言葉は、行き先を示す羅針盤となったのです。

 山口さんが送り出しだサントリーの新聞広告を集めているのがこちらになります。

新装版 諸君!この人生、大変なんだ (講談社文庫)

新装版 諸君!この人生、大変なんだ (講談社文庫)

 

 

  山口さんは一度、早稲田大学に入学していましたが、兵役のため中退しています。

 その後、さまざまな経験ののち、26歳で再び大学に入学しています。それが國學院大学でした。

 

 浅はかにもわたくしは、開高健さんや山口瞳さんを生み出したサントリーで広告を作りたいと思い、國學院大学を卒業すればサントリーにも入るチャンスがあると考えました。

 当時は本当に単純でバカな考えでした。それでもあのときのわたくしには他に何も見えなかったです。

 かっこつけた言い方をすれば、サントリーに入社したいわけではなく、山口瞳さんのような文章を書きたかった。書いたものを多くの人に見てもらって、わたくしと同じような思いでいる人たちの心を動かしたかったのです。

 

 わたくしは早稲田に入るほど学力がないので、社会人枠を使って國學院大学を受験し、そして入学しました。

 入学のために、当時わたくしは地元で学費を貯めるため、仕事も掛け持ちしていました。

 昼間はラジオ局でADの仕事をしていましたが、夜はスーパーのレジ打を深夜2時までして入学金を貯めました。ラジオ局の時間が不規則だったので、睡眠時間は2時間という日もありました。

 生活はハードでしたが、それ以上に希望にあふれていました。

 

 大学には山口さんと同じ26歳のときに入学。同じ文学科を選びました。

 昼間は仕事をしていたので、夜の講義を中心に通っていました。

 大学で学び始めると、わたくしはさまざまな小説をむさぼるように読みました。そして小説を書きたくなり、在学中に新人賞に応募したりと、それは充実した学生生活でした。

 

 卒業後の進路として予定通りエントリーシートをサントリー出しましたが、就職活動は甘いものじゃありませんでした(活動と言えるほどのことはしていませんが)。

 振り返れば、30歳で大学を卒業して「あわよくば就職も」と片手間で考えていたわたくしは就職を本当に甘くみていました。

 今の日本じゃ30歳で大学出ても、よほど根性入れなければ棒にも引っかかりません。

 

 ただ、大学入学の一番の目的は就職ではなく、

「山口瞳さんのような文章を書けるようになりたい」

「多くの知識を入れたい」

 これらが目的だったので、大学生活で夢や希望にあふれて学んだ四年間は、自分自身で納得して進んだいい決断だったと思っています。

 

就職のための大学ではない

 20年ぐらい前なら、「大卒」は世の中で通用する立派な免許でした。

 求人誌を見ても「大卒」などと最終学歴が記載されていることがありました。

 その企業の業務にどれほど精通していても「大卒」でなければ応募することもできませんでした。

 

 わたくしは自動車免許と同じで、「大卒」は一つの免許だと考えています。

 どれだけ車の運転がうまくても、たとえF1を乗りこなせても、自動車免許がなければ公道で車を運転することは違反なのです。

 

 どこそこの企業に就職したい。それには大卒が必要だ。

 だれだれのようになりたい。その人を目指している。だから同じ軌跡をたどってその人に近づきたい。

 就職なんてしなくていい。ずっと絵を描いていたいから美大に行く。

 

 知識を得る場所として。さらには夢や希望、情熱をぶつける場所として大学に行くという選択なら、わたくしはいいと思います。

 ただ、今の世の中「大卒」は、あって当たり前、という時代です。昔のように自慢できる免許ではなくなっています。

 

 そのような時代に、二流、三流の大学に行って就職戦争を戦うには、その「大卒」はあまりにも武器として非力です。

 

 無難に、ある程度の企業に就職できても、あなたにこれといったスキルがなければリストラの対象になったり、またはあなた自身がこんな仕事はしたくないと、数年で辞めてしまうかもしれません。

 

 わたくしの経験から申し上げれば、大学に行くという選択肢を選ぶなら、一流の大学か、どうしても大学に行ってこれを学びたいというものがあれば行ってもいいと思います。

 そうでなく、なんとなく流されるままに大学に行くのなら、わたくしなら大学には行きません。

 そんなことで大学に行って無駄になりそうな大金を払うなら、興味があるないは別に置いておいて、自分の力で生きていけるようなスキルを身につけます。例えば、、、。

 

『Pepper』くんはまだ清掃員にはなれない

 たとえば医師なんていう職業は、これから先もなくなることはありません。人間は生きているかぎり、そして地球上に病気が存在し続けるかぎり、医師という仕事は盤石だと思います。

 AIによって人間の仕事が奪われるといわれていますが、医師の仕事をAIが奪うのはもう一世代先の話だと思います。

 ただ、技術の発達で医療に携わる人の数は減るかもしれません。

 一回の手術の人数も2、3人減るかもしれません。

 また事務の仕事はコンピューターが最も得意としている分野なので、そういった医療事務系の分野での仕事はこの先安泰かどうかはわかりません。

 

 医者でなくても、まだ機械ではできない仕事はあります。

 

 美容師はどうでしょうか。この分野も機械に変わることは相当難しいと思います。

 客とコミュニケーションをとり、なおかつ作業を進めながら客の細かい要望にも応えていく。

 人間がスキンヘッドにならないかぎり需要はあります。

 

機械に奪われる仕事

 すでにニュースにもなり、ご存知の方も多いと思いますが、今後10年から20年先を考えたときに「機械に奪われる仕事」という報告を、オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授が2013年に発表しています。

 

 小売販売員、会計士、セールスマン、一般秘書などなど。ここでは詳しい内容は割愛しますが、要するに、現段階でのわたくしたちの日常生活で起こっていることを考えて、さらにその先を想像すれば、自ずと淘汰される仕事がわかってきます。

 

 一人に一台のスマホ。さらにAmazonがあれば、電車の中、トイレの中、仕事の休憩中、寝る前。いつどのような場所でも買い物ができます。これにより、販売に関わる人の数が著しく減少していくことはわかると思います。

 

 さらに会計や秘書の仕事もコンピューターが得意としています。

 何万も払っていた会計ソフトは、今ではフリーの会計ソフトをだれでも使うことができます。

 また面倒だったスケジュール管理もスマホ一つで管理できる時代です。

 

 

 では逆に、なくならない仕事はどういったものか、わたくしなりに考えてみました。

 わたくしがなくならないと考える仕事は「清掃員」や「ベッドメイク」などと思います。

 

「こんな仕事だれもやりたくない!」

「こんな肉体労働は機械でもできる!」

 

 と思われますか。むしろわたくしは逆だと思います。

 コンピューターが得意なのはホワイトカラーの仕事です。机の上でPCの画面と向き合いながら行う作業。そして人間の脳で考えても難しい高度な計算式などを瞬時におこなうことです。

 こういった仕事はAIに奪われると思います。

 

 しかし、だれも進んで就こうと思わないブルーカラーの肉体労働は、むしろ今後も人がおこなう仕事の領域です。

 

 たとえばビルの清掃員。

 作業カゴをもって各階を回っていきます。「ルンバ」のように床掃除だけすればいいのではありません。床にガムが引っ付いていたらヘラでとります。同時進行でトイレ掃除、鏡ふき、ゴミ捨て、備品補充。壁に穴や傷があったり、機材に故障があれば、そのつど臨機応変に立ち回らなければなりません。

 そういったことはまだまだ機械には難しいことです。

 

 わたくしはビジネスホテルでアルバイトをした経験がありますが、ベッドメイクなど人間のなせる技です。あれは本当に体力を使うし、シーツを織り込んだり、整えたり。さらに時間との勝負です。今のロボット技術ではできない仕事です。

 

 医師と清掃員では極端な例でしたが、AIに奪われる仕事に就くのなら、進路として「大卒」という選択肢は、もはやなんの強みでもない世の中になりつつあります。

 ならば、AIに取って代わられない仕事。またはこれからの時代必須のプログラミングの知識を身につけて、AIに命令できる立場に立つような、そんな専門性を身につけたほうがいいと思います。

 

借金漬けのスタート。そして仕事がない

 時折、奨学金のニュースがネットに載ります。どれもが悪い内容です。

wabisuke.hatenablog.jp

 

 卒業してすぐ返済が始まります。就職してようがしてまいがサラ金のような返済が始まり、滞納すればブラックリストに名前が残ります。

 

 奨学金を借りて卒業。

 晴れ晴れしい新生活が待っていると考えるのは大間違いです。

 借金地獄の始まりです。

 ブラックリストに載れば与信に傷がつきクレジットカードなどを作るのも難しくなります。

 一度、社会から脱線してしまうと、さらに厳しい現実が待っていますから、奨学金の返済はさらに苦しくなります。

 そんな時代に親が大金を払ってまで、または奨学金という借金をしてまで大学を卒業する価値があるか、もう一度考えるべきだとわたくしは思います。

 

リスクを避ける

 人生にリセットはありません。人はいつも選択の連続です。どちらの選択肢を選んでも、あなたが選んだ選択肢は常に正しいのです。

wabisuke.hatenablog.jp

 

 もし選んだ選択肢を経験して、失敗だったとします。

「やっぱりあっちだった」

 と、これからの人生で何度もそう思う場面に遭遇するかもしれませんが、しかしもし、逆を選んだとしても、状況はもっと悪いものだったかもしれません。

 人生に「もし」はないのです。

 

 人はなんらかのリスクを負って選択肢を選んでいます。リスクを負わなければリターンがないからです。

 しかし同じリスクでも、あなたが選ぶ選択肢によって「無用なリスク」を避けることは十分可能なのです。

 もう一度よく考えて、この人生ゲームを勝ち抜いてください。

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