世界的な市場の下落の中、現在は不思議な小康状態。経済予想は当たらない
経済予想は当たらないから勝手にもの言う
投資をおこなっているかたはすでに現在の経済や市場の状況をそれなりにわかっていると思います。
今年から新たに投資を始めた人には散々な年になってしまったのではないでしょうか。
わたくしは勝手に2016年の経済予想をしたのですが、すでにドル円予想は当たり、原油についても当たりましたが、さらに下落しそうです。というよりも原油価格はさらに安くなると思います。
もし底を打つならアメリカの一つのシェール企業が破綻し、それを切っ掛けにゾンビ化しているシェール企業が連鎖破綻。そこが原油価格の底になると思います。一度それをこなさないとアク抜けしません。そこで底を打っていくらか反転していくと思います(そこそこすみません)。
ドル円はもう一度110円を試すと思います。大胆に予想すれば100ー105円を試す展開もあるかもしれませんが、結局当たるも当たらないも、偶然とわたくしは思っています。
さらに欧州に目を向けると、ドイツ銀行の一件も気になりますね。こちらも現在は小康状態。
FRBの利上げはどうでしょう。
2016年は4回と申し上げましたが、これは外れかもしれません。たぶん1回。2回できたらいいところですかね。もしかして1回もないかもしれません。
現在は不思議な小康状態が続いていますが、まだまだ油断は禁物だと思います。
これからの展開を大胆予想
経済予想なんて当たらないんだから、これからの展開をわたくしなりに予想してみます。自分自身を信じて、その予想に従って投資をしようとも考えています。
予想して当たったら「なんで予想した通りに投資しなかったのか」て悔しい思いをしますからね。
ちなみに自らの予想通りドル円相場をショートしておけば今頃は、、、。
さて、まずは中国の動向を予想したいと思います。
中国の動向について
世界経済を牽引しているのは中国とアメリカだと思います。
しかしここにきて中国の外貨準備高が大幅に減少しています。
2月7日に中国人民銀行(中銀)が発表した、1月末までの外貨準備高は3兆2309億ドルとなり先月に比べて995億ドル減少したと発表しました。
もっとも減少したのは2015年12月の1079億ドルでした。
中国は日本より2倍以上となる外貨準備高でありますが、2014年の4兆ドルから下落が続いております。
中国は、人民元の下落と資金流出を食い止めるために、中銀がドルを売って元を買う行為を繰り返していると思われ、それによって外貨を取り崩している状態といわれています。
中国からの資金流失は昨年中国がおこなった元の切り下げ以降、急速に足を速めている状態です。さらにアメリカの利上げが拍車をかけたといわれています。中銀はそれを食い止めるために為替介入で元を買い支えている状態です。
面白いのがここからです。
この中国の状態から何かを判断したのか、1月にスイスでおこなわれたダボス会議でジョージ・ソロスが、
「中国経済のハードランディングは不可避だ」
「これは予想ではなく、実際に目にしていることだ」
と述べました。
中国のハードランディングは不可避─米投資家ソロス氏=通信社 | ロイター
ただこれはソロスのポジショントークとも考えられますので注意が必要です。
しかし、イングランド銀行を潰した男として彼の一言が周囲を動かす力を持っていることもまた事実ですし、ソロスのこの発言に敏感に中国が反論批判しました。
たしかにソロスは世界で著名な投資家の一人ですが、中国という大国が男一人にここまで反論するのは、
「もしかして」
とも考えられます。
そして、ここからが中国のジレンマです。
現在中国はドルを売って人民元を買い支えています。買い支えるということは元高を維持しようとしています(元高だから中国人が世界中で爆買いできるのですね)。
しかし元高は金融引き締めをおこなっていることと同じです。通貨を安くする緩和とは逆ということです。
中国経済が減速しているならば中国は緩和をして国内経済を活性化させなければいけません。しかし現在は外貨準備高を崩して元を買っています。
これだと外貨は減り続けます。
では2015年8月におこなったように元の切り下げ。ようするに元の価値を下げる行動をおこすとなると、元を買い支えなくてすむので一旦は外貨準備高の減少は止まります。緩和と同じなので国内経済も活性化するかもしれませんが、中国人は自国を信用していません。できるだけ資金を海外に移したいと考えています。元より世界のドルを持っているほうが安心です。
結局、元安に誘導しても市場関係者からは
「おい。やっぱり中国の景気は危ないんじゃないか。ソロスが言ったようにハードランディングもあるかも」
となれば、さらい元が売られます。
また、アメリカの利上げの影響で一層海外に資金が流失してしまい、さらに元安に拍車がかかることになります。
わたくしの考えでは、中銀が元を買い支えれば外貨は減り続け、もしかしたらソロスなどのヘッジファンドが通貨アタックをしかけるかもしれません。そうなれば安全資産への避難として円は円高に向かいと思われます。
逆に中銀が元の切り下げをおこなっても、円は円高に向かいと思います。
どっちにしても中国問題で円は買われやすくなると思います。
経済がぐらついているときは、黙って円を持つ。1ドル110円になってドルベースで考えればみなさまの資産価値は上がったのです。給料が上がらない時代、円高になれば資産が殖えたことと同じです。
原油価格について
現在1バレル30ドル前後ですが、先日、産油国のサウジ、カタール、ロシア、ベネズエラが、現段階以上に原産しないという条件付きで合意しました。
文面からは良さそうに聞こえますが、『マーケットハック』の広瀬氏の解説では、この四カ国はすでに生産量の上限で産油しており、今の産油技術では実質、今以上の生産は難しいということ。
なので、この話し合いはあってもなくてもよかったわけで、形ばかりとなったということです。
さらに広瀬氏は、制裁解除されたイランにも言及しています。
イランは制裁解除により原油輸出を再開したのですが、そのシェアを回復するために今回の合意に追随することはない。無視すると予想しています。
そしてそれは現実となりました。
四カ国の合意に、イランの石油相はその合意を支持していますが、自国の制限については言及していません。つまり無視したということです。
産油国の今回の合意は不発といっていいと思います。
さて、原油価格はさらに下げるとわたくしは予想します。
なぜなら、産油国はアメリカのシェールにシェアを奪われたくないためです。
ゴールドマン・サックスはレポートで、原油協調減産の可能性は極めて低いと報告し、経済成長が「急激に」軟化しない限り減産は実施されないとしています。
その報告の通り、先にあげた形ばかりの産油国の合意。さらには、サウジは減産の用意はないとのニュースがはいってきました。
では産油国の強気に対して、シェール企業はどうでしょうか。
シェール企業の採掘ラインは、技術の進歩もあり低下していますが、それでも40ー50ドルが採算ラインといわれています。
これはシェールの採掘技術が発展すれば今後も低下していくと思われます。
産油国の採算ラインは10ー20ドルとも言われています。
先頃制裁解除されたイランの採算ラインがこのあたりなので、現在の原油価格でも利益を上げられるようです。
現在の原油価格が続く、またはさらに下落するようだとシェール企業は採算割れが続き、掘れば掘るほど赤字を垂れ流すことになります。
資源サービスのベーカー・ヒューズによると、米国内での掘削リグ稼働数も減り続けております。一時期は1600近くあったものが、現在は500台を切るほどになっております。
ただ、この減少報告でも原油相場に反応はありませんでした。
2月19日に米エネルギー情報局(EIA)が発表した原油在庫が5億0410万バレルとなり、1930年代以来の記録的な積み増しとなったことがわかりました。
原油価格が底を打ったなどと到底思えません。
現在、シェール企業の破産申し込みが増えている中、2月9日にはS&Pがシェール企業最大手のチェサピーク・エナジーの格付け1段階引き下げました。
さらに同社が債務再編のためにアドバイザーを雇ったことがニュースになると、
「破綻するのでは!」
という憶測から株価が乱高下しました。
その後同社は、破綻申請するつもりはないとアナウンスし、事の収集をはかりました。
わたくしは、「大丈夫」と、言うときが一番危ないと思っているので、シェサピークは危ないと思います。
原油価格を巡っては、産油国とシェール企業との根比べがこの先も続くと思います。
中国は景気後退懸念から原油輸入量を減らしている最中です。
産油国が減産しなければ、原油は積み上がるので、原油価格がさらに下落し、根比べに耐え切れなくなったシェール企業の破綻が起こります。
すでにゾンビ化しているシェール企業が破綻し、そして中堅、大型の企業が破綻すれば、セリングクライマックスとなり、それが大底の切っ掛けとなると予想します。
どれほどの期間、根比べが続くかわかりませんが、長くても半年ぐらいではないかと。もしかしてもっと早いかもしれませんね。
ドイツ銀行について
株価は年初から40%を超えてデフォルトの懸念が高まりました。CEOのジョン・クライアンは、
「基盤は相変わらず盤石だ」
と声明を発表。
同社の状況を考えたとき、「安全だ」と言われれば、かえって疑わしさが強くなります。
簡単に説明すれば今回の問題はこうです。
世界的に広がっている低金利のせいで銀行は融資で利益を上げられなくなっています。シェール企業などをはじめ、エネルギー企業に貸し付けた債務返済が、現在の原油安の影響で滞りはじめています。
さらにリーマンショックの教訓から投資銀行も規制強化により儲けが薄くなっている状態。
欧州の銀行に問題が発生しているのだが、とりわけドイツ銀行が悪いです。
先日発表した決算で過去最大の68億ユーロの赤字となりました。これは取引で不正が発覚し、その罰金の支払い義務の発生。それが巨額の制裁金になるのではと懸念されています。
ここに絡む問題として、銀行に課された自己資本規制「バーゼルⅢ」の適用があります。
この規制で銀行は自己資本比率を高めなければなりません。その比率を高めるために社債を発行できるのですが、ドイツ銀行は『偶発転換社債(CoCo債)』を発行しました。
CoCo債は、ティア1と呼ばれるものに含まれ、これは返済義務がないお金のこと。株式で調達した資金や利益余剰金などと同じでです。
CoCo債は債券と株式を足したようなもので、利子を支払う。しかし自己資本が低下したときは株式に転換して利子の支払いをやめることもできます。
CoCo債は高利回りだったので人気化しました。ですがドイツ銀行は来年にも利払いができなくなり、株式に転換するのではとウワサが広がり市場に同様が走ったことが一連の経緯です。
先日ドイツ銀行は債券の一部買い戻しを検討しているとニュースになりましたが、ここにはCoCo債は含まれていません。それでも同社の株価は反発して上向きました。
利払いの停止はドイツ銀行の問題だけではありません。これほど規模が大きい銀行が一回でも利払いを停止すれば、CoCo債の売りに繋がり、欧州のから金融不安が広がる恐れがあります。
「大丈夫」というときは、たいてい危ないと肝に銘じておきましょう。