赤飯は甘納豆。羊羹は五勝手屋。谷田製菓のきびだんご。北海道のソウルフード
北海道のソウルフード
故郷からはじめて外の世界に出て分かることってよくあります。特に食文化です。
北海道では当たり前のジンギスカンが、他の地域では「肉が臭い」とか「旨くない」など、けなされ、バカにされることが多々ありました。最近ではジンギスカンはそのヘルシー感から好まれるようになっています。
それでも全国的にまだまだ不思議がられる食べ物、知られていない食品があります。
赤飯は甘納豆
これ。めちゃくちゃ不思議がられます。ていうか、
「気持ち悪い」
とまで言われたことがあります。
わたくしは赤飯と言えば甘納豆しか考えられなかったので、逆になんとも味気ない小豆の赤飯を食べたときに
「なんじゃこりゃ!」
て感じたぐらいです。それほど赤飯には甘納豆がスタンダードでした。いや赤飯というものは甘納豆が入っているものだと思ってたぐらいです。それをむかし勤めていた職場の人から、
「北海道て赤飯に甘納豆入ってるて本当?」
と訊かれたとき、
「甘納豆以外なにか入っているんですか?」
と言い返したことを今でも覚えています。
さまざまな地域で育った方々に訊かれましたが、
「つべこべ言わずゴマ塩かけて黙って喰わんかい!」
と思うのはわたくしだけではないはずです。
羊羹は五勝手屋羊羹
子どものころ羊羹というものをはじめて食べたのが、道南の江差町の五勝手屋の羊羹でした。こんなに甘い物が世の中にあったのかと思ったほどです。
五勝手屋のホームページにはその成り立ちが書かれています。
当家の祖先は慶長年間(1596年~1615年)に江差の地に渡り住んだと伝えられています。その後、ヒノキの伐り出しのために来た南部藩の杣人(そまびと)・五花手組(ごかってくみ)が小豆を栽培してみたところ、蝦夷地で初めて実らせることができたので、近隣の村人ともども大いに喜んだといいます。この小豆をもとに菓子を作り藩公に献上したところ大変喜ばれ、また、これを記念して屋号を五花手屋としました。その後、この杣人たちが住みつき五勝手屋村と呼ばれるようになり、やがて屋号も五勝手屋と変わります。
ソース元:五勝手屋本舗
歴史を知ると本当に古くからあることがわかります。ものすごく上品な作りの羊羹かといわれれば、ごくごく普通の羊羹なのですが、それでもその素朴感がいいんですよ。みなさまみのそういったものがあるのでは。
写真は円柱なのですが、一般的な長方形のものもあります。わたくしはこの円柱形が昔から馴染みがあるので今回はこれを食しました。
見ての通り、上部の蓋を開けます。粗目の砂糖が付着しています。どう食べるかといえばこの写真の反対側から指で押し上げます。そうすると羊羹がズンズンと上に上がってきます。そして円柱に巻かれた紙をはがすと細い凧糸が仕込まれてますのでそれを使って輪切りに切って食べることができます。
どうですか。この糸で切るのが子どもには楽しい行為で、これがやりたいがために勢い余って一本食べてしまいます。
きびだんごは起備団合
岡山の銘菓であり、桃太郎が持ち歩いていた「きびだんご」。わたくしの常識ではきびだんごは長方形のものでした。それがこれ。
谷田製菓の『日本一きびだんご』わたくしの中ではまさに
「日本一」
でした。ずっしりと重く、噛んでも噛んでも口に残るきびだんごは、犬、猿、キジを手懐けるにはもってこいの食べ物だとわたくしも思ったほどです。
その谷田の「日本一きびだんご」が、全国では認知度が低いきびだんごだと知ったときのわたくしのショックは説明ができません。これがきびだんごでないなら、一体どれをきびだんごと言うのか。
製造元の谷田製菓のホームページにはこうあります。
当社のきびだんごは大正12年に作り出したもので、関東大震災の復興を願い、さらに北海道開拓時の助け合う気持ちをこめ、「起備団合」という名前をつけ発売しました。 そして、今でいうキャラクターに桃太郎をつかった訳です。形は生産しやすいという事もあり、長方形にしました。
ソース元:谷田製菓株式会社
そうなんのです。
「きびだんご」
ではなく
「起備団合」
なのです。wikiにもこのようにあります。
岡山市の銘菓として全国的に知られているきびだんごとは、全く異なる菓子である。北海道の本拠を置く食品メーカー数社(谷田製菓、国産製菓、天狗堂宝船など)が道内販売を目的に製造しており、独自の製法のものである。いずれのメーカーも『日本一きびだんご』を商品名として販売している。麦芽水飴・砂糖・生餡・餅米などを材料として、細長い板状に伸した餅をオブラートでくるんだものであるのが特徴である。
ソース元:日本一きびだんご - Wikipedia
全く異なる菓子! これを知ったときわたくしは今まで一体なにを食べていたのかと思いました。きびだんごではないきびだんごだったのです。
しかし、そんなソウルフードをわたくしは今でも大好きです。子どものころに舌に染み付いた味は大人になっても消えません。
そして、スーパーで買って一本食べました。
表面のカバーを外すと、もう一枚紙で包まれています。昔はこの中の紙はなく、ダイレクトにきびだんごが入っていました。
きびだんごはオブラートが巻かれていますので手につくことはありません。
ちぎるとこんな感じです。噛み応え、食べ応えがあります。味はまさしく団子です。懐かしさいっぱい、お腹いっぱいです。みなさまもいかがですか。