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『アメリカ市場創世記 1920〜1938年大恐慌時代のウォール街』ジョン・ブルックス【著】を読んでみた

ウィザードブックシリーズ

アメリカ市場創世記──1920?1938年大恐慌時代のウォール街 (ウイザードブックシリーズVol.226)

アメリカ市場創世記──1920?1938年大恐慌時代のウォール街 (ウイザードブックシリーズVol.226)

 

 投資家にはおなじみのパンローリング社のウィザードブックシリーズです。

 筆者はウォール街についての著書で評価を得ているジョン・ブルックスです。以前ご紹介した「人と企業はどこで間違えるのか」も筆者です。

wabisuke.hatenablog.jp

日本版では『アメリカ市場創世記 1920〜1938年大恐慌時代のウォール街』となっていますが、英語版では『Once in Golconda』という題名です。

今や廃墟と化したゴルコンダは、かつてはそこを通過した者はだれでも金持ちになるという言い伝えのあるインド南東部の町だった。似たような伝説が第一次大戦と第二次大戦をはさんだ時期、ウォール街にもあった。

 すでにゴルコンダは荒廃してしまっていますが、この短い文章からでも当時のウォール街を感じ取ることができるのではないでしょうか。

 わたくしはもちろんですが、多少アメリカ市場に関心があっても1920年代から30年代のウォール街については知らない人も多いのではないでしょうか。大恐慌時代から、そのあとの市場や経済のありかた。現代とは違い混沌としたウォール街の雰囲気を味わうことができます。

 J・P・モルガンを本書の軸に添えて、彼の周辺を取り巻く多くのウォール街の人物。そのウォール街とルーズベルト大統領のワシントンとの静かなる闘争。

 当時起こった数々のエピソードを取り上げながら、それらに関わった人物を魅力的に描いています。本書を開いたときに最初に目に飛び込んでくる文章を引用します。わたくしの拙い説明よりも、これを読んでいただければ本書への興味が沸き起こるはずです。

ウォール街の死んだ日

 ビジネス作家のなかでも傑出した一人であるジョン・ブルックスが、史上最もよく知られた金融市場のドラマである1929年の世界大恐慌とその後遺症の雰囲気を完璧に伝えているのが本書である。遠い昔々のことと思っている現代の読者にとっても身近で興味深い話題が満載されている。

 本書は戦争をはさんだ時代に起きたウォール街の盛衰と痛みを伴う再生を描いた劇的な年代記だ。この時代に生きた最も印象的なトレーダー、銀行家、推進者、詐欺師の人生と運命に焦点を当て、好景気にわいた1920年代の貪欲、残忍さ、見境のない高揚感、1929年の株式市場の大暴落による絶望、そしてそのあとの苦悩を生き生きと描き出している。

 具体的には、大相場師のジェシー・リバモア、JFKの父親で仕手筋と有名だったジョセフ・P・ケネディ・シニア、ベンジャミン・ストロング・ニューヨーク連銀総裁、フランクリン・D・ルーズベルト大統領など当時のウォール街を彩ったそうそうたるメンバーや、のちに有罪判決を受けて刑務所に収監されるリチャード・ホイットニー・ニューヨーク証券取引所社長らの活躍や暗躍や暗闘を、映像が浮かぶように活写している。

 本書の原題にも使われている「ゴルコンダ(GOLCONDA)」とは、「今ではすっかり廃墟となったが、昔はそこを通過するだけで、だれでもが金持ちになれたというインド南東部の町」のことである。富者は勢いを失い、美しい建物は廃れ果て、その輝ける栄光は失せ、二度と元には戻ることはなかった。株式に関心ある人には知識や常識として知っておきべき史実がいっぱい詰まっている! 再び、ゴルコンダが起こらないように(あるいは、ゴルコンダが起こったときに備えて)!

 登場人物が本当に魅力的です。「ウォール街のグレートベア」という異名をもつジェシー・リバモア。J・F・ケネディーの父。そしてルーズベルトまで。われわれも一度は耳にしたことがある人物が生き生きと描かれています。

 アメリカ投資をしているかたには、知っておかなければならないウォール街の歴史の断片です。

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